「今」を生きるというヨガの答えは、ヨガポーズの中に存在する
ヨガの考え方で「今」を生きましょう。というものがあります。今を生きるってどういうことなのでしょう?実はその答えはヨガのポーズの中にあったのです。
ヨガスートラでのアーサナ定義
パタンジャリの編集したヨガの経典「ヨガスートラ」の中にアーサナ(ポーズ)についての記述がいくつかあります。
「アーサナは、快適で安定したものでなければならない」
「自然な性向である落ちつきのなさを減じ、無限なるものに瞑想することによって、アーサナは習得される」
「以後その者は、二元性によって乱されることはない」
これだけ見ると、何のことか意味が不明な箇所もあるのではないでしょうか?確かにパタンジャリのいうアーサナとは坐法の事であり、私たちが行っているポーズとは少々違います。
しかしこのアーサナの定義は、現代のヨガポーズ、そして今を生きるという事に繋がっているのではないでしょうか。少し詳しく見ていきましょう。
「今を生きる」こととアーサナの関係
「アーサナは、快適で安定したものでなければならない」
この教えはわかりやすいものですが、快適で安定したアーサナをとるためには、心も体も強く、そして柔軟でなくてはなりません。今を生きるという事は、過去や未来に固執しないという事、過去の失敗を引きずっていたり、将来のことを心配していては、今を楽しめません。
心を柔軟にすることで、そんなこともある、まあいいかと切り替えることも出来るものです。今を生きている自分が快適で、かつ安定した気持ちでいることが何よりも重要なのです。過去や未来に固執している時、今の自分はどこにいるのでしょう。
「自然な性向である落ちつきのなさを減じ、無限なるものに瞑想することによって、アーサナは習得される」
一見難しそうですが、簡単に言ってしまうと「体は勝手に色々な刺激を求めてしまうので、それを止めるために大きなものや不動のものを想像すると、心がざわざわするのが落ち着き、安定してポーズができますよ」という事です。
これはアーサナを安定させるにはとても大切なことで、また今を生きるためにも大切なことではないでしょうか。明日嫌なことがある、どうしよう仮病を使おうか、頑張ろうかと考えながら過ごしては、今という時間が無駄になります。
心を今にとどめておくために、ポーズをとり「動かない」でいると、心は体に寄り添ってくるものです。自分が今を生きていないな、と感じたらただじっと座ってみるものいいかもしれません。
「以後その者は、二元性によって乱されることはない」
アーサナが安定したら、余分なことに悩んだり、左右されたりしないという事です。今に根を下ろししっかり生きていれば、世界がどう変わろうと、自分は自分と中立した立場でいることが出来るといいます。
安定したアーサナは、心をコントロールできるのです。
ヨガクラスの中で「今」を意識する方法
ヨガクラスの中で「今」という事を意識することは出来るのでしょうか?インストラクターの中にはクラスの前に「家庭や仕事のことはいったん忘れ、自分にそして今の時間に集中しましょう」と指示を出す人もいます。
なるほどと思いつつも、心はなかなかいう事を聞いてくれないものです。ポーズをとりながらも、帰ったら何を食べようかな、子供のお迎え行かなきゃいけないなどついついざわついてしまします。
マットの中に世界をつくる
ヨガのマットの上でポーズをとる際、自分の軸となる場所が「現在」です。重心が前によってしまったら「未来へ行き過ぎ」、後ろへよってしまったら「過去へ行き過ぎ」です。まるでゲームような考え方ですが、この方法は今に集中するいい方法なのです。
軸がぶれないようになると、安定性が生まれ、大地と自分のつながりを感じるようになります。ポーズの息苦しさも自然と消えて「今」の自分に集中できるようになります。
呼吸のカウントを数える
この方法は、瞑想の方法の1つでもあるのですが、数を数えることで余計なものが頭から抜けていきます。アーサナをとっている場合は、呼吸も深まりポーズも安定したものになっていくのです。
1回の呼吸を1と数えてもいいですし、4つで吸う、6つで吐くなどと自分のリズムをカウントしてもいいでしょう。
ヨガポーズを安定させ「今」を生きよう
アーサナ(ポーズ)を安定させることは、今を感じ生きることに繋がります。せっかくヨガを実践しているのなら、少しの時間でも「今」というものを感じてヨガを行ってみましょう。もし、今を生きられるようになったら、人生で重荷と感じていたものが実はそうではなかったと気づくかもしれません。