女性とヨガ – PMSの症状改善のためのヨガポーズとは
世のほとんどの女性は、毎月やってくる生理や生理前に起きる何かしらの症状に悩まされいるといっても過言ではありません。特に生理前のPMSについては、PMSが起こる仕組みや対処法を知らない人が多いようです。今回はPMSについて、それらの症状改善に最適なヨガポーズをご紹介します。
ヨガはPMSの症状改善に最適
女性のホルモンバランスはとても繊細で、日々の生活習慣によっていとも簡単にそのバランスは乱れます。
日ごろから生活習慣に気を付けても、月の一度の生理前に必ずホルモンバランスが乱れ、様々な不調がでてきます。
PMS(生理前症候群)の影響で、毎月1度は心身共に不調続きという期間は誰でもあると思います。
しかし、この月に1度やってくるPMSの症状改善にヨガが効果的だということはご存知でしょうか?
そもそもPMSとは?
月経前症候群PMS(=Premenstrual Syndrome)とは、月経の3~10日前に始まり、月経になると軽くなり消えていく身体的・精神的な症状のこと。
症状は人によって様々で、200通りもあるといわれています。
日本人女性の86%が毎月のPMS症状に悩まされているという調査結果も出ています。
主な症状
症状は身体・心の不調があります。
身体の症状
- 胸が張る、痛い
- 下腹部や腰が痛い
- 頭痛
- のぼせる
- むくみやすくなる
- 異常な眠気や倦怠感がある
- 肌が荒れる
- 食欲増進
心の不調
- 気分が沈む
- わけもなく悲しくて涙が出る
- 全てに対してイライラする
- 怒りっぽくなる
PMSとPMDDの違い
一般的に知られているPMSとは別に、PMDDという症状もあります。
PMSの精神的な症状が重いものを、月経前不快気分障害PMDD(=Premenstual Dysphoric Disorder)といいます。
PMDDは、イライラや不安感が強くなったり、怒りっぽくなったり、感情のコントロールができなくなったり精神的な症状が重くなるのが特徴です。
身体面で起こる症状は、過食気味になったり、異様な眠気に襲われたり、体がパンパンに膨らんでいるように感じる人もいるといわれています。
PMSの原因
PMS・PMDDの原因は完全には解明されていませんが、月経周期による女性ホルモンの分泌量変化がPMS・PMDDの大きな原因だと考えられています。
女性ホルモンでである、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量バランスは、排卵期を境に大きく変化します。
これらの女性ホルモンの分泌量バランスが変化することで、排卵後~月経開始までにセロトニン量の低下・プロゲステロンの質と量の低下・鉄分不足・低血糖症が体内で起こり、PMS・PDMMが起こると考えられています。
PMSを予防するには
身体の栄養素や普段の精神安定と深く関わっているPMS・PMDDですが、普段の生活習慣を見直すことで少しづつ予防することができます。
血糖値を安定させる食生活
低血糖症は、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが過剰に分泌させることで、PMS・PMDDの原因につながります。
特に排卵後~月経までの黄体期には、低血糖にならないように注意が必要です。
低血糖を起こさないためには、体内の糖質量を安定させる必要があります。
食後の血糖値の上昇が緩やかな食品のことを低GIといい、低GI食品を意識して食べることも有効です。
鉄分を補給する
鉄分不足もPMSの原因につながります。
鉄分というば肉類ですが、最近ではベジタリアンやビーガンの人も多いので、必ず肉を食べないといけないというわけではなく、鉄分補給のサプリやフルーツなどで良質な鉄分を摂取するのも効果的です。
とにかく鉄分が不足しないように気を付けましょう。
プロゲステロンの質と濃度を上げる
PMS・PDMMの原因としてプロゲステロンの質と濃度の低下があります。
プロゲステロンの質と濃度を上げるためには、材料となるビタミンEと善玉コレステロールを増やす必要があります。
アーモンド、ひまわり油、とうがらし、麦芽玄米、ココナッツオイルなどにビタミンEが多く含まれています。
これらを意識的に摂取するようにするのも効果的です。
甘いモノを控える
低血糖はPMS・PDMMの原因になると前述しましたが、糖分をたくさんとれば血糖値が上がるわけではありません。
砂糖を多く含んだ甘いモノは血糖値を大きく上昇させ、血糖値が急激に上昇すると身体はそれを抑えようとインスリンを大量分泌させます。
そして、そのあとに低血糖を引き起こすのです。
また、低血糖の急激な上昇・現象はビタミン・ミネラルを消耗させるので、甘いモノが食べたくなったらフルーツなどを摂取するといいでしょう。
ヨガのPMS症状改善の効果
ホルモンバランスや生活習慣から起こるPMSの症状は、ヨガどのような症状改善が期待できるのでしょうか。
腹痛や腰痛の軽減
骨盤は歪むことで、骨盤周辺の筋肉は引っ張られていきます。
そのため、筋肉の張りによる腰痛や腰が重くてだるい鈍痛などが引き起こされます。
また、骨盤の歪みが原因で骨盤周辺の血流も悪くなり、生理前の腹痛が悪化します。
ヨガを行い骨盤のゆがみを整えると、このような症状が軽減され、姿勢改善にもつながります。
自律神経が整い精神状態が落ち着く
PMSの症状で多くの女性が悩まされているのが、イライラや不安感などの情緒不安です。
わけもなく悲しくなって涙が出たり、イライラしすぎて自分に腹がったたり、漠然とした不安に襲われて全てが嫌になってしまったり。
ヨガを行うと、ヨガ特有の深い呼吸が自律神経を整え、安定した精神状態を保つことができます。
また、ヨガをすることによって得られるリラックス効果からセロトニンの分量も増え、不眠などの症状改善にもつながります。
下腹部周辺の血行改善
ヨガで全身の筋肉が柔軟になり、骨盤が正しい位置になると、下腹部周辺の血流が良くなります。
下腹部周辺の血流がよくなると、PMS症状の下腹部の痛みなども軽減され、子宮周辺の不快感改善にもつながります。
血流がよくなるだけで、PMSや生理中の辛い腹痛や子宮周辺の不快感を軽減することができます。
生理前、生理中、生理後のヨガで気を付けることは?
そもそも生理前や生理中にヨガをしていいの?何か注意することは?
意外と知らない人が多いこの点についてご紹介します。
逆転ポーズやハードなヨガは避ける
ヨガの流派にもよりますが、一般的に生理中は逆転系のポーズや動きがハードなヨガは避けた方がよいでしょう。
生理前や生理後は基本的にいつも通り行ってもいいですが、気持ちが乗らなかったり、あまり動きたくないと感じることもあるかもしれません。
そのようなときは、身体に鞭を打ってムリしてヨガを行う必要はありません。
身体の声をよく聞いて自分で管理しましょう。
ヨガウェアにもこだわる
生理前や生理中にヨガを行うとき、ヨガウェアにもこだわってみてください。
普段のように身体のラインがしっかり出て動きやすいヨガウェアは避け、締め付けがきつくなく露出が少ないものを着用することをおすすめします。
締め付けがきついと血流をとめてしまいますし、露出が多いものは身体の冷えの原因につながります。
生理前や生理中の身体は冷えに敏感になっているので、注意が必要です。
PMSに効果的なヨガポーズ
PMSの症状解消に効果的なヨガポーズをご紹介します。
横たわった合せきのポーズ(スプタバッダコナーサナ)
横たわったがっせきのポーズは、卵巣や前立腺、膀胱、腎臓などの腹部組織の活性化・全身循環の改善・鼠径部、ヒザのストレッチ・ストレス、軽いうつ、月経中や更年期障害の症状緩和に効果的です。
リストラティブヨガのポーズなので、精神的に落ち着きがほしい人にもおすすめ。
ポイント
・両足の裏を合わせて、がっせきのポーズ(バッダ・コナーサナ)を行う
・両てのひらを床につき腰をサポートしながら、吐く息で背中を床に下ろしていく
・手のひらは上に向け、両手は体側に伸ばすか、頭上に伸ばす
コツ
・余裕があれば、ヒザの外側を床に近づけるように意識する
・もしくは、太ももの内側にクッションか折りたたんだブランケットを置いて重り代わりにする
・頭の下に枕を置いてもOK
・アゴは軽くひいて、肩回りはリラックスするように意識する
注意点
・鼠径部やヒザに故障がある場合、必ず太ももの外側にクッションかブランケットを敷いてサポートしながら行う
・がっせきのポーズがしんどい場合は、両足の裏を無理にくっつけなくてもOK
・ポーズに入ったらまずは1分ほどホールドする
・余裕があれば深い呼吸を意識しながら5〜10分ホールドする
・ポーズから出るときは、両手で太ももを閉じ、立膝のまま右側に転がり、左手のひらで床を押し、頭が最後になるようにゆっくり起き上がる
屍のポーズ(シャバーサナ)
屍のポーズは、脳を休める・ストレスや軽いうつの軽減・体の緊張緩和・頭痛、疲労、不眠症の緩和、血圧の低下を促進するのに効果的です。
何も考えずにただリラックスすることを目的としているので、瞑想効果を感じたい人にもおすすめ。
ポイント
・両腕を体側から離す
・手のひらを上に向けて胸を開く
・わきの下には拳一つ分のスペースを作ると肩周りの緊張がほぐれる
・脚の力を抜く
コツ
・体、顔の力をぜんぶ抜く
・頭で何も考えずに、ただ呼吸にフォーカスする
・息を吐く度に余分なものが体外に出ていき、息を吸う度にフレッシュなエネルギーが体内に入ってくるイメージをする
注意点
・後ろに倒れるときは、腰に負担がかからないようにヒザを曲げて手のひらで床を抑えながらゆっくり倒れる
・眉間のしわをとって目元をリラックス、喉元をあけて首回りもリラックス
・ポーズを終わるときは、まずヒザを曲げた状態で右側に倒れ、左の手のひらで床を押してゆっくり起き上がる
おすすめのヨガポーズ解説本
PMSが本当に辛いなら一度病院へ
生活に支障が出るほどの症状があるのであれば、医療機関を受診し正しい診断を受けることも大切です。
体調不良にPMS以外の病気が潜んでいないかどうかの確認も必要です。
心の症状が強い場合は、産婦人科だけではなく相談しやすいメンタルクリニックや医療内科の受診もおすすめです。
産婦人科で相談してみる
産婦人科で相談し、必要であれば薬を処方してもらうことも解決策の一つです。
低用量ピルは適切に使えば女性の悩みを改善する可能性がありますが、喫煙者や片頭痛持ちの人など服用できない体質の人もいるので、自分の身体には何が合うのかを医師とじっくり話し合いましょう。
薬以外にも漢方やサプリで症状を和らげることも可能です。
とにかくストレスをためない生活を心がける
薬に頼る前に、まず自分のストレスに気づけるようになるといいでしょう。そして、そのストレスの原因を考えることで、生活習慣を見直すことにつながります。
毎月ホルモンバランスに振り回される人生を何十年も続けていくのか、毎月ホルモンバランスとうまく付き合いできる限りストレスを感じない人生を何十年も続けていくのか、どちらがいいですか?
生理やPMSをどう捉えるかによって人生がガラッと変わるでしょう。