怪我しやすいのはどこ?ヨガインストラクターも怪我をする
ヨガをやっていて身体を痛める生徒さんがいるけど、ヨガインストラクターはケガをしないの?と疑問に思っている方もいるかもしれませんが、ヨガインストラクターも同じ人間なので、もちろん身体を痛めたりケガをすることはあります。しかし生徒さんとは少し違うシチュエーションが原因のことが多いのです。今回はヨガインストラクターのケガ事情を予防法も含めてご紹介します。
ヨガインストラクターも怪我をする
ヨガインストラクターは完璧な存在だから体を痛めたりケガをすることはない、と思っている方もいるかもしれません。
しかし、もちろんヨガインストラクターも人間ですし、ヨガを自分のためにするのとヨガを指導するのでは全く異なることということを理解してあげてください。
そして、体を痛めたりケガを経験したことのあるインストラクターは、ヨガインストラクターになってからそれらを患うことが多いです。
意外かもしれませんが、その理由はヨガインストラクターならではのものでした。
柔軟性より筋力が大事
新米ヨガインストラクターにありがちなのが、クラスの中でデモンストレーションを頑張りすぎてしまうこと。
しかも、ヨガインストラクターは柔軟性が高い人が多いので、必要以上に柔軟性を使ってデモンストレーションを行ってしまい、気が付いたときには体を痛めていたりケガをしていたりすることがあります。
ヨガのポーズを行うときに何よりも大事なのは、正しいアライメントで正しく筋力を使いアーサナを行うことです。
多くの人が、ヨガ=柔軟性がないとできないと思っていますがこれは間違えで、正しくは柔軟性より筋力の方が大事なのです。
柔軟性が高い人は筋力がなくても勢いでほとんどもアーサナを行えてしまいますが、筋力を使えていないことになるので小さなダメージが蓄積されていき、いずれ大きなケガなどになって表れてきます。
これは柔軟性が高いヨガインストラクターがケガをしやすい理由の一つです。
ヨガは見世物ではない
こちらも新米ヨガインストラクターにありがちなことですが、ヨガのアーサナを見せることに必死になっていて、表面的でファッション感覚のヨガをしてしまうことがあります。
いかに美しいアーサナの写真を取ってSNSにアップするか、いかに完璧なポージングを生徒さんに見せれるか、などに執着しすぎるとヨガの本質的な部分からかけ離れてしまうのでいずれ体を痛めたりケガにつなる可能性があります。
たしかにヨガのアーサナは美しいですが、ヨガは自分のために行うもので、見世物ではありません。
練習のしすぎは禁物
ヨガインストラクターはヨガの練習を欠かさず、常に成長し続けるものだと思っている人も多いと思います。
しかし、ヨガインストラクターも生徒と同じく人間なので、過剰な練習は禁物です。
練習することはいいことなのですが、体に負担をかけすぎると股関節や膝関節・腰などのケガにつながりやすいので注意が必要です。
プロのヨガインストラクターに必要なことは、練習・休息・セルフメンテナンスのバランスです。
きちんと体と心のメンテナンスが行えるかどうかが、プロとして成功するカギではないでしょうか。
どんなときに怪我をしやすい?
ヨガインストラクターがケガをするときは、実際にどういうシチュエーションが多いのでしょうか?
最も多いのが、レッスン内で生徒さんのアジャストする(ポーズを直す)ときです。
生徒さんをアジャストをするとき
生徒さんからするとあまり気にならないかもしれませんが、ヨガインストラクターはアジャストするときに最も注意を払っています。
例えば、ダウンドッグのアジャストをするときに、ヨガインストラクターが生徒さんの頭の方に立って腰を両手で押し上げるとします。
このときに、ヨガインストラクターはきちんと重心を定めてバランスを崩さないように、なおかつ腰などに負荷がかかりすぎないように注意をしながらアジャストを進めていかなくてはいけません。
そして、時には自分よりも体重が重い男性などのアジャストもしなくてはなりませんし、一人の生徒さんをアジャストしながらクラスを進めていかなくてはいけないので、全体を見ながらインストラクションを続けていく必要があります。
少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、一瞬でも気を抜いたら自分のバランスを崩してしまったり、変な箇所に負荷がかかってしまったりするので、アジャストするときは常に注意を払う必要があるのです。
難しいポーズのサポートをするとき
初級以外のクラスで難しいチャレンジングポーズを行う機会が多くなる場合も、より注意が必要になります。
例えば、ハンドスタンドなどの逆転のポーズを行うときに、生徒さんは足を上げることだけに意識が向いてしまい、最も大事な土台である手や上半身ののことを忘れてしまいがちです。
ヨガインストラクターは様々な事態を予測してサポートする必要がありますが、サポートするときに予測以上に体重をかけられたりすることがあり、このような場合にケガにつながるのです。
さらに、逆転ポーズの指導を行う場合はインストラクションにも注意が必要です。
なぜなら、逆転ポーズをしているときに「上・下、前・後ろ」などと言ったときに混乱してしまう可能性があるからです。
インストラクターが正しいインストラクションをしていても、生徒さんが真逆のことをしてしまい、顔を蹴られたり体重が支え切れなくて一緒に倒れてしまったりして、生徒さんとヨガインストラクター共にケガをしてしまうこともありえます。
怪我しやすいのはどこ?
ケガといっても、どの箇所がケガしやすいのでしょうか?
最もケガをしやすい、痛めやすい箇所をご紹介します。
手首
ヨガで頻繁に行うポーズの一つが、下向きの犬のポーズ(ダウンドッグ)です。
そもそも、人間の手は足と違い全体重を支える機能がないにも関わらず、そこに長時間体重をかけていれば痛みが出てきてもおかしくありません。
そして、ダウンドッグで手首を痛める人の多くは体重をかける箇所を間違っているのかもしれません。
手のひらを大きく広げ、指の付け根でしっかりと床を押すことで手首に負担がかからないようになります。
腰
ヨガで腰を痛める人も多く、そのほとんどの人が柔軟性が高い人なのです。
意外かもしれませんが、柔軟な人は限界を超えてポーズを深めようとする傾向があるので、無理をしやすいのです。
そして、ケガをしやすいのが前屈や後屈のポーズです。
前屈や後屈は勢いでポーズを深めるものではなく、呼吸に合わせて少しずつポーズを深めていくものです。
前屈や後屈は深めれば深めるだけ良いと思っている人もいるかもしれませんが、それは完全に間違いです。
それらのポーズは、自分の身体や可動域に合う深め方をするのが正しいやり方です。
股関節
ヨガで股関節を痛める人もいます。
勇敢な戦士のポーズ(ヴィラバドラーサナ)や三角のポーズ(トリコナーサナ)などの立位のポーズで、前足を外旋しすぎたりすることにより股関節に痛みが生じることもあります。
みなそれぞれ体が違うので、もちろん股関節の造りもみな同じではありません。
開脚前屈なども無理にやりすぎると股関節に負荷がかかりすぎてしまうので、少しでも痛みや違和感があるのであればやりすぎないでセーブすることも大事です。
怪我を予防するには
大好きなヨガで体を痛めたりケガをしたくはありませんよね。
100%とはいえませんが、心がけ次第でケガを予防することはできます。
自分の身体を理解する
まずは、ヨガをする以前に自分の身体を理解することです。
みなそれぞれ身体の造りは異なります。
例えば、生まれつき腰椎に問題がある場合はバックベンドをするときにみんなと同じように行うとすぐに痛みが生じますし、股関節の可動域が通常より狭かったりする場合は立位のポーズなどで外旋しすぎると痛みが生じてケガにつながる可能性があります。
自分の身体の可動域や限界を理解することで、自分の身体を守ることにもなるので、まずは理解することから始めましょう。
セルフケア・休むことも仕事のうち
ヨガインストラクターになる人は優しい心の持ち主が多く、そのような人は他人=生徒さんに尽くしすぎてしまう傾向にあり、自分のケアを怠ってしまうことが多いです。
ヨガインストラクターこそ、自分のケアをしっかりとし、ONとOFFをきっちり決めることがとても大事です。
好きなこと=ヨガを仕事にしていると、ONとOFFの切り替えが難しいと思うかもしれませんが、休むのも仕事のうちと言い聞かせてあげることをおすすめします。
毎日きちんとセルフケアをし、OFFの日はちゃんと休み、ケガとは無縁のヨガインストラクターになっていきましょう。