夜のヨガ習慣で一日のストレスをしっかりリセット
ヨガは太陽礼拝や朝の沐浴のように、早朝の清浄な時間帯に行うもの・・・と思い込んでいませんか?確かにインド発祥の伝統的なヨガは、早朝の儀式としての側面もありますが、現代を生きる私達にとっては、もっと自由にフレキシブルにヨガの恩恵を与かりたいもの。そこで今回は、一日の疲れを癒し、すこやかな眠りに誘うための「夜ヨガ」についてのご紹介です。
なぜ夜ヨガなのか?
夜ヨガは1日の疲れをリセットする時間
大昔より人々は、太陽の昇る日中に活発に活動し、太陽が沈む夜には休息をとることで、1日の疲労をリセットし回復させてきました。そのため私達人間には「活動と休息」のサイクルが自然と備わっており、その表れのひとつに自律神経の働きがあります。
自律神経というと難しい話のようですが、簡単に例えると、昼は元気で活発な「交感神経」のスイッチがオンになり、夜はゆったりと落ち着いた「副交感神経」のスイッチがオンになるのです。
つまり夜というのは本来人間にとって重要な休息の時であり、刺激や興奮などで神経を高ぶらせるよりは、ゆったりとリラックスするのに適した時間帯なのです。
現代人のストレスと睡眠障害
ところが私達現代人の生活は、利便性を追い求めるあまり、あらゆる分野でのデジタル化や効率化が進み、処理する量も増え、そのスピードも目まぐるしいばかりです。
結果的に日中の活動時に抱えるストレスも高まり、なおかつインターネットやスマホ、タブレットを使って、朝目覚めたときから夜ベッドに入るまで刺激的な情報に晒され、心も身体も休まることを知りません。
そんな私達が陥りやすいのが
- 疲れているのに寝つきが悪くてなかなか眠れない
- 眠りが浅くすぐ目が覚める
- 熟睡できず翌日まで疲れを持ち越してしまう
といった睡眠障害です。
本来ならば自然と私達に備わっているはずの「活動と休息」のサイクルが、前述した現代人の生活スタイルによって、その機能を失ってしまったかのようです。
よりよい睡眠のために
確かに現代の生活はストレスが多く、自律神経の働きにも影響を与えているかもしれません。しかし、だからといって現在のライフスタイルを一掃するわけにもいかないのが現実です。
それでは、どうすれば私達は、このストレスフルな現代の生活の中で、より健やかに生きていくことができるのか?
この問いの答えを求めるように私達は、緊張をほぐすためにお酒を飲んだり、ストレス発散としてスポーツクラブで汗を流したり、気分転換にカラオケで羽目を外したりと、様々なアフターファイブの過ごし方を楽しみます。
例えば、運動などで身体に適度なストレス負荷をかけ、心身にほどよい緊張を強いると、その後に緊張を弛緩させることで深いリラックスを得やすくなりますので、快眠のために水泳やジョギングが欠かせない、という方も多いようです。
または、マッサージやスパ、ストレッチやヨガ、アロマセラピーやハーバル療法などのリラクゼーションで心身を緩め、自然と入眠することを好む方もいます。
つまり、人間にとって大切な「日中の過度のストレスや疲労からの回復のために質の良い睡眠をとる」というサイクルを維持するために、現代の私達は運動などのストレス発散、またはマッサージなどのリラクゼーションを行っているのです。
夜ヨガのアプローチ
よりよい睡眠のために、リラックスとストレス発散という2つの異なるアプローチがあると前述しましたが、夜ヨガのコンセプトは、どちらかというと副交感神経に働きかけるリラックス優先です。
一般的に、ある程度の運動量や負荷をかけて行うアクティブなスタイルのヨガを「陽のヨガ」、ゆったりとリラックスして落ちついたスタイルのヨガを「陰のヨガ」と区分し、これら双方をミックスしたスタイルのヨガを「陰陽ヨガ」と定義つけることがあります。
そして夜ヨガは、副交感神経に働きかけ、落ち着きやリラックスをもたらす「陰のヨガ」の要素を多く含みます。
陽のヨガ・・・元気&リフレッシュ
アシュタンガヨガ・パワーヨガ・エナジーヨガ・朝ヨガ
→交感神経に働きかける
陰陽ヨガ・・・バランス
ハタヨガ・ビンヤサヨガ・シバナンダヨガ
→交感神経・副交感神経のバランスをはかる
陰のヨガ・・・落ち着き&リラックス
リストラティブヨガ・インヨガ・リラックスヨガ・夜ヨガ
→副交感神経に働きかける
夜に行うヨガの効果的な実践例
いつ、どこで行うか?
ヨガというとスポーツクラブやスタジオでクラスに参加するイメージがありますが、夜ヨガの場合クラスが終わってから着替えて、電車に乗って帰宅して、シャワーを浴びて・・・となると、せっかくのリラックス効果も台無しになってしまいます。
そこで夜ヨガの場合は、自宅での「お家ヨガ」をお勧めします。
自分の家なら、食事やシャワーを済ませて、パジャマに着替えて、寝室やベッドの上でゆったりとした気持ちで夜ヨガをして、終わったら、そのまま心地よい眠りにつくことができます。
具体的には何をするの?
夜ヨガでポイントとなるのは、もちろん行うポーズも大切ですが、呼吸や心の状態=マインドも意識的に整えていくことで、より効果的に深い心身のリラックスがもたらさせます。
ポーズ
基本的には、ベッドやソファの上で気軽にできる、座ったポーズや横になったポーズがメインとなります。
そして、あまり難しくない、無理をしなくても大丈夫な、気持ち良いなぁと感じるポーズを、少し長めの時間ホールドすることで、体の奥からじんわりと緊張をほぐしていきます。
必要であれば、枕やクッション、ブランケットや布団を丸めて、体を委ねると、より安心して深くポーズに入れます。
呼吸
私達は、興奮したりストレスを感じると呼吸が荒く浅くなり、これは交感神経が高まっている証拠です。
夜ヨガでは、これとは真逆の副交感神経を優勢にするアプローチですので、まずは自分の呼吸を整えていきましょう。
意識的に、静かで深く長い呼吸を行ってみます。途中で気が散ってしまっても大丈夫、それに気が付いたら、また意識的に静かで深く長い呼吸に戻します。
これを繰り返すことで呼吸が落ちつき、呼吸が落ちつくと、心が同調して静まってきます。
まずは、呼吸からコントロールしてみましょう。
マインド
呼吸が整ってきたら、心の状態=マインドも落ち着いてくるはずです。
もし色々と考え事が頭から離れない場合は、まずは意識を呼吸に向けてみましょう。
ゆっくりと吸う息を、ていねいにしっかりと追いかけてみます。イチ・ニ・サンと数を数えてもいいかもしれません。そして、吐く息も同じように観察するように追いかけてみます、これで一呼吸・・・というのを10呼吸分試してみてください。
恐らく2呼吸目くらいで、気が散ってしまうかもしれません。そのくらい私達の心は彷徨いやすいものなのです。ああ、また気が散っちゃった・・・とガッカリせずに、「ああ、いまの私は、こんな事を考えているのだなぁ」と、空を流れる雲を眺めるように、大らかな気持ちで観察してみましょう。
夜ヨガのゆったりとしたポーズをとっている間、こんな風に呼吸と心の観察をすることで、いつの間にか心身が整ってきます。
夜ヨガにおススメのヨガポーズ
それでは、夜ヨガにおススメのポーズをいくつかご紹介します。
子供のポーズ1
- まず正座で座り、両手を床につきながらお辞儀をするように上半身を前に倒していきます。
- お腹を太腿の上に載せるようにして、額が床に着くまで前屈します。
- 安定したら両手を、掌を上にして、後ろの床におろします。
- 窮屈に感じるようでしたら、膝を少し開いて枕やクッションを置き、その上に覆いかぶさるようにすると快適です。
- この状態で、目を閉じ、深い呼吸をしながら、しばらくホールドします。
子供のポーズ2
子供のポーズ1と、ほぼ同じですが、両手は掌を下にして、前方へ伸ばして床に下ろします。
ちょうどバンザイをしている状態となりますので、肩回りをほぐすのに最適のポーズです。
ヴィパリータ・カラニ〜壁を使った休息のポーズ
- 簡単で誰にでもできる壁を使った逆転のポーズで、壁に向かって横になり、下半身を壁にもたせ掛けます。
- 下半身を上にすることで、全身の血液やリンパの流れが活性化し、脚の疲れやむくみに効果があります。
- 脚を少し開くと更にリラックス感が深まりますが、開き過ぎると重力で股裂きになってしまうのでご注意ください。
- 目を閉じて、上半身が床に沈み込むようなイメージで、脱力してしまいましょう。
ねじりのポーズ
- 両足を前に伸ばして座ります
- 右ひざを立てて、その足の裏を左ひざの外側の床に置きます
- 左腕で、立てた右ひざを胸の前で抱えるようにして、体を少し右側へねじります
- 右手をお尻の後ろの床の上に置き、バランスをとります
- 後ろ側を振り返るような感じで、目線を右後方へ向けます
- 心地よいねじりを感じながら、しばらくこの状態で呼吸を味わいます
夜ヨガ〜おすすめの動画
夜ヨガを習慣付ける秘訣
せっかく夜ヨガを始めても、続かなかったら勿体ないですよね。だけどスタジオに通うのと違って、自宅でのヨガはモチベーションを保つのがちょっと難しいところです。
そこで、無理なく夜ヨガを習慣付けるための、ちょっとした秘訣をご紹介します。
お気に入りの場所・音楽・香りを見つけよう
自宅での夜ヨガを習慣付けるには、なによりも「夜ヨガが楽しみ!」と思えるような環境作りが大切です。
お気に入りの音楽や香りに包まれ、穏やかな間接照明の中、心地よい服装で、自分だけの極上の時を過ごす・・・そんなイメージで、いつものリビングやベッドルームを特別なスペースにしてしましましょう。
リラクゼーション効果のある音楽
夜ヨガに最適のBGMは、やはりリラックス効果のある音楽。ヒーリングや瞑想用のCDなどは、脳波を整える周波数を活用したものも多くあります。
ネットでも色々と試聴ができますので、実際に聴いてみて、自分にとって心地よいものを選択しましょう。
安らぎのアロマ
夜ヨガにはアロマも欠かせません。ラベンダーやサンダルウッドなど、リラックス効果の高いものから、各メーカー独自の「リラックス」「メディテーション」「安らぎ」といったブレンドものまで、様々なアロマオイルがありますので、お好みの香りを見つけておくのも良いかもしれません。
お部屋でアロマオイルを使用する際は、キャンドルポットで火を灯しても構いませんが、ディフューザーを使った方が安心です。
時間を確保するヒント
そして何よりも肝心なのは、夜ヨガをする時間を意識的に捻出することです。
特に学校や仕事の後に帰宅し、食事や入浴を済ませてしまうと、ダラダラとテレビやネットを見てしまい、あっという間に時間がたってしまうこともしばしばです。
そこで提案なのが、下記の3つです。
- 時間を決める
- その時間の前に食事や入浴、翌日の準備を済ませてしまう
- その時間になったらテレビ・ネット・スマホの電源を切る
もしご家族と同居の場合は、「○○時になったら夜ヨガをするので邪魔しないでね」と宣言したり、またはリビングで家族と一緒に夜ヨガをするなど一工夫して、とにかく時間を意識的に捻出します。
そうすることで、気が向いた時だけするのではなく、毎日の日課となってきます。そして、それが習慣化すると、まるで歯磨きのように、「やらないと気が済まない」「やらないと気持ち悪い」ような感覚になり、自然と定着していきます。
食事について
一般的にヨガは食後に行わない方が良いとされます。食事が消化しきれていない状態で、ねじりや逆転のポーズを行うと、やりづらいばかりではなく、気持ち悪くなってしまう可能性もあるからです。
しかし夜ヨガは、そのまま心地よく眠りにつく目的がありますので、夕食や入浴を済ませてから行うことがほとんどです。
それでは夜ヨガの前には、食事を節制した方がよいのでしょうか?
結論としては、夜ヨガのポーズ自体はやさしいものが多く、無理をせず、ゆったりとした瞑想的に行いますので、食べ過ぎたり、食べた直後でない限りは支障ありません。
ほどほどに楽しく夕食を取り、しばらくたって消化してから、就寝前に夜ヨガを行うのが理想的です。
夜ヨガを習慣にして毎日の疲労やストレスをリセットしよう!
いかがでしたでしょうか?
ちょっとした工夫で、いつからでも気軽に自宅で始められる夜ヨガを習慣にして、毎日の疲労やストレスからの回復につながる、質の高い睡眠を手に入れちゃいましょう!