アシュタンガヨガは普通のヨガと何が違う?
アシュタンガヨガと聞くと、激しくてストイックなヨガをイメージする人は多いと思います。しかし、実際は〈動く瞑想〉とも言われており、追及していくほど精神的な部分に働きかける要素が多く、リラックス効果も高いのです。今回はアシュタンガヨガについてご紹介します。
そもそも、ヨガとは?
ヨガと聞いて真っ先に頭に思い浮かぶのはなんですか?
難しいポージング、瞑想、インド哲学、などでしょうか。
実はそれら全てをひっくるめてヨガと呼んでいるのです。
そのヨガの教えは八支則といわれる8つの段階に分かれています。
ヨガの基本は八支則
ヨガの教えには、アシュタンガ=八支則という8つの段階があります。
1:ヤマ(Yama)/禁戒
日常生活で行なってはいけない5つの心得。
2:ニヤマ(Niyama)/勧戒
日常生活で実践すべき5つの行い。
3:アーサナ(Asana)/坐法
もともとは座法でしたが、現在ではヨガのポーズのことを指すことが一般的。
4:プラーナヤーマ(Pranayama)/呼吸法・調気法
瞑想を深めるために呼吸を整えること。
5:プラティヤハーラ(Pratyahara)/感覚の制御
感覚への意識を深め繊細に感じること。
6:ダーラナ(Dharana)/集中・精神統一
意識を集中させること。
7:ディアナ(Dhyana)/瞑想
無意識に深く集中すること。
8:サマーディ(Samadhi)/三昧、超意識、悟り
瞑想が深まり、集中の対象との一体感を感じている状態。
アシュタンガヨガとは?
この八支則はヨガの聖典、聖者パタンジャリが説いたヨーガ・スートラの中に出てくる基本的な教えになります。
アシュタンガ・ヴィンヤサヨガの指導者シュリ・K・パタピジョイス師は、八支則の
- ヤマ
- ニヤマ
- アーサナ
の練習だけで十分な修行になると伝えています。
通常は、①ヤマ→②ニヤマ→③アーサナの順番で行うのが正しいと言われていますが、現代人はアーサナによって心身を清めることでヤマ・ニヤマが理解しやすくなると考えられました。
そして、シュリ・K・パタピジョイス師は現代人に向けたアシュタンガ・ヴィンヤサヨガを考案し、それが瞬く間に世界中に広がっていきました。
アシュタンガ・ヴィンヤサヨガとは?
アシュタンガヨガは、インドのシュリ・K・パタピジョイス師が指導するアシュタンガヨガ・ヴィンヤサヨガのことで、現代向けのヨガアーサナ=ポージングの練習方法です。
アーサナ=ポージングのシークエンスは一つ一つ、順番が決まっており、その順番通りにアーサナ=ポージングを行っていきます。
シークエンスや順番のみではなく、呼吸や目線なども細かく決められており、途切れることなく決められたポージングを行っておくのがアシュタンガ・ヴィンヤサヨガの大きな特徴です。
レッドクラスとマイソールクラスの違い
アシュタンガ・ヴィンヤサヨガを行う上で知っておくべきことは、アシュタンガ・ヴィンヤサヨガにはレッドクラスとマイソールクラスがあるという点です。
レッドクラス
レッドクラス/led classは、指導者のカウントに従いアシュタンガヨガを行っていくクラス。
レッドは赤のredではなく、リードleadの過去形のレッドledです。
lead/ledには、先導する・案内する・率いる・連れていくという意味があり、このレッドクラスは、ヨガインストラクターの指導通りに全員で動いていくスタイルです。
マイソールクラス
マイソールクラス/Mysore classは、アシュタンガヨガの本場マイソールシティで行われているスタイルのクラスです。
マイソールクラスは、決められたシークエンスを各々ができるところまで自分のペースで練習をしていくスタイルです。
練習は各々で行いますがマイソールクラスにもインストラクターがいるので、指導はマンツーマンで行われ、生徒の熟練度に合わせてインストラクターから新たなアーサナ=ポージングが与えられます。
初心者にはマイソールクラスがおすすめ
2種類のクラスがあるアシュタンガヨガですが、初心者には向いているのは圧倒的にマイソールクラスです。
初心者にとってマイソールクラスは敷居が高く感じられたり、緊張する、うまく出来ないとインストラクターに迷惑がかかるなどと思う人も多いと思います。
しかしヨガは自分のために行うものなので、周りを気にする必要はありません。
なので、自分にあったペースで教えてくれるマイソールクラスこそ初心者にピッタリなのです。
人はみな骨格や柔軟性、可動域などは異なります。
マイソールクラスでは自分にあった指導が受けられるので、個人的なアドバイスはケガの予防にもなり、上達への近道ともいえるでしょう。
続いてアシュタンガヨガの注意点のになります。
アシュタンガヨガの注意点
ケガが多いヨガとしても有名なアシュタンガヨガですが、注意するべきポイントをしっかりと押さえておくと可能な限りケガは回避できます。
その他、流派のヨガに比べて運動量の多いアシュタンガヨガは、練習を始める前に必ずストレッチや準備運動を行うことをおすすめします。
どれだけヨガ歴が長くても、インストラクターのアドバイスは聞くようにしましょう。
体を痛めてしまったら
準備運動を十分にしていても、ストイックに練習しすぎてしまったり、注意不足などで体を痛めてしまうこともあるかもしれません。
万が一、練習中に体を痛めた場合は、そのままポーズを続けずに中止して体を休息させましょう。
そして何より大事な点が、無理をしないことです。
体の造り、柔軟性や可動域はみな異なります。
そのことを理解したうえで、特に体が硬い人は決して無理をせずに、自分のできる範囲で練習していきましょう。
アシュタンガヨガは毎日練習する?
基本的には毎日練習するのがアシュタンガヨガです。
しかし、新月と満月のムーン・デイと女性は生理のときは例外で、練習は控えるましょう。
ムーン・デイ
毎日練習することが望ましいアシュタンガヨガですが、ムーン・デイと呼ばれる新月と満月には実践しないことになっています。
ですが、午前に新月や満月になるときにはどうしたらいいのでしょうか?
例えば、火曜日の午前1時10分に新月になる場合、月曜日は練習しないことになります。
月の満ち欠けのピークがくるまでの24時間は練習しない時間になるからです。
少し細かいですが、月曜日の午前1時10分~火曜日の午前1時10分までは練習をせず、火曜日の午前1時10分1秒から練習をしてもOKというわけです。
生理のとき
女性の場合、生理が始まって数日間は練習を休むことがすすめられています。
アシュタンガヨガを行う場合、呼吸と共に骨盤内部や下腹部を活性化させていくことになります。
そして、それらを活性化させるためには骨盤や腹部の表面だけでなく、内臓に近い部分の筋肉も使っていく必要があり、生理中の子宮に影響がないとはいえないのです。
もし生理中にそれらの筋肉を使い子宮の収縮が必要以上に起これば、それは生理痛につながる可能性があります。
生理中は思っている以上に体に負担がかかっているので、休息が必要な時期です。
その時期にしっかりと体を休ませてあげるのは、決して怠惰なことでなはなく、ごく自然なことです。
アシュタンガヨガに向いている人
他の流派のヨガとは異なり、少し個性的なアシュタンガヨガ。
実際に行ったことがない人からすると、決まり事や難しいアーサナが多いように感じるアシュタンガヨガですが、一体どのような人に向いているのでしょうか。
ヨガ中級~上級の人
アシュタンガヨガは他の流派のヨガと比べてハードな内容になっているので、ヨガをある程度経験している人にとってはスムーズに取り組んでいけるでしょう。
ある程度ヨガを経験している人がアシュタンガヨガを行うと、ヨガにおける自分の体の使い方を知っているので、スムーズに取り組んでいけることが多いようです。
しかし、他の流派のヨガと同様にヨガ歴は関係ないので、もちろん初心者の人もアシュタンガヨガを始めることができます。
ダイナミックな動きがしたい人
他の流派のヨガはゆっくりと身体を動かしたり、リラックス効果を重視していたりしますが、アシュタンガヨガは運動量が多いのである程度の体力が必要です。
日ごろから運動を行っている人は、あまり運動を行っていない人に比べて、アシュタンガヨガをスムーズに始めることができるでしょう。
他のヨガと同様にアシュタンガヨガも呼吸と動きを合わせてシークエンスを行っていきますが、スローな動きよりダイナミックな動きが好きな人に特に向いています。
ストイックな性格の人
ヨガはある意味すべてが修行ですが、アシュタンガヨガは特にストイックな性格の人に向いているといえるでしょう。
毎日決められたシークエンスを行っていくということは、簡単なように聞こえるかもしれませんが、継続するということは想像以上に難しいものです。
しかし、毎日続けることにより心身の強化や柔軟性向上につながります。
そして、毎日のプラクティスで前日の自分を越えるために努力するので、精神的に弱さを克服したい人や精神的に安定したい人に向いています。
一歩踏み出すと何かが変わる
アシュタンガヨガは合う合わないがとてもはっきりしています。
少しでも興味があるのであれば、ぜひ新しい世界に飛び込んでみてください。
きっとあなたの中で何かが変わることでしょう。