ヨガは哲学から始まった!ヨガの起源を学んで、ヨガを深めよう

ヨガと哲学
ヨガ

近年、美容と健康のためにヨガを実施している人が増えています。スポーツクラブなどでもエクササイズ感覚で楽しめるようになったヨガですが、そのはじまりはとても堅苦しいものだったのです。ヨガの起源や哲学的な面を少しのぞいてみましょう。ヨガの魅力がさらにUPするかもしれません。

ヨガの歴史的な流れ

近年ハリウッドセレブ達が火付け役になって大ブレイクしているヨガ。しかしその歴史は古代までさかのぼります。

長い歴史の中で、交差してきた人々の色々な思いや願い、思考が詰まったヨガの歴史を見ていきましょう。

ヨガの発祥は紀元前までさかのぼる

昔の記憶をたどると、学校の授業で「インダス文明」を習った記憶があります。紀元前2500年ほど前に、インダス川流域で栄えた文明です。

有名な遺跡にモヘンジョ・ダロがありますが、実はこのモヘンジョ・ダロ遺跡から座法や瞑想する人が発見されたのです。その姿こそヨガを行っている姿であると言われています。

もともとのヨガの形

古代インドに存在していたヨガは、主にラージャヨガ(王のヨガ)という名の瞑想によって解脱を求めるもの、カルマヨガ(行動のヨガ)という生き方そのものを考えるヨガがありました。

またギャーナヨガ(知恵のヨガ)という名の知恵をもって行動しようというものや、バクティヨガ(献身、愛のヨガ)という神をたたえるヨガもありました。

お気づきのように、これらのヨガにはアサナ(ポーズ)は存在しません。そればかりか、古代のヨガはカースト制度に置ける、身分の高いバラモンの人達しか行うことが出来なかったのです。

ハタヨガの誕生

ヨガにアサナ(ポーズ)が誕生したのは、12世紀に入ってからなのです。インドでは哲学学派がお互いに争い、ラージャヨガに対抗する形で、ハタヨガが生まれました。

ハタヨガはゴーラクシャ・ナータという人物が開祖したもので、現在私達になじみの深い、ポーズと呼吸法を取り入れたヨガとなっています。

ハタとは「ハ=太陽」「タ=月」という意味で、日本人に分かりやすく言い変えると陰陽という意味です。現在多くの流派がありますが、体を動かすヨガは全てハタヨガの一部と言えるのです。

ヨガの哲学

ウパニシャッド

ヨガを語るうえで外せないのが、サンスクリット語で奥義書という意味を持つ「ウパニシャッド」です。

身分高いバラモンの師から弟子に、伝承された奥義をまとめたもので、紀元前1000年から紀元前500年位に編纂されたと言われています。

このウパニシャッド哲学では、宇宙の根源であるブラフマン(梵)、そして人間の本質であるアートマン(我)が存在し、この2つは同じものだと言っています。

梵我一如という言葉で表されますが、とても意味の深い言葉です。「同じもの」ってどういうことだろう、と考えることも哲学の面白さです。

ヨガスートラ

ヨガの指南書と言えば「ヨガスートラ」とイメージする人も多い事でしょう。ヨガスートラはインドの哲学者パタンジャリによって、紀元後4世紀頃に編纂されたヨガの経典です。

ヨガスートラの中には八段階の積み重ねルールが記載されており、八支則のヨガとも言われます。聞いたことがある!という人も多いのではないでしょうか。

ではヨガのバイブル、ヨガスートラの八つの法則を紹介します。

1.ヤマ(禁戒)

ヨガスートラでは「してはいけないこと」を5つ、最初に説いています。自分に対して守るべき行動です。

ちなみに厳密に言えば、八支則は順番にクリアしていかなくてはいけないのです。その第1関門がヤマというわけです。

1.非暴力(アヒムサ)
2.正直でいなさい(サティヤ)
3.人のものを盗まない(アステーヤ)
4.性欲におぼれない(ブラーマチャリヤ)
5.物欲におぼれない(ブラーマチャリヤ)

2.ニヤマ

「するべき事」2つ目はやりましょう!というものです。これをニヤマといい5つあげています。自分に対して守るべき行動です。

1.自分の心と体を綺麗にしなさい(シャウチャ)
2.足るを知る、必要以上の贅沢をしない(サントーシャ)
3.鍛錬しなさい(タパス)
4.経典などで学びなさい(スワディヤーヤ)
5.献身的に生きなさい(イシュワラプラニダーナ)

3.アサナ

ヤマ、ニヤマが出来たら、いよいよアサナ(ポーズ)を行います。

ここでいうアサナは、現代のように美容やダイエットのためではなく、自分へと意識を集中させるためのものです。今自分の中で何が起きているのかを内観できるようにポーズをとっていきます。

4.プラナヤマ

プラナとは呼気、つまり呼吸の方法です。ヨガでは呼吸によって、心と体が結びつけられると考えられています。呼吸によってエネルギーを調節し、体に取り込んでいきましょうと説いています。

5.プラティヤハラ

5番目は感覚の制御です。なんだか難しいように聞こえますが、外からの雑音や刺激をシャットアウトしましょうというものです。

現代ならテレビ、インターネットなどの情報に惑わされずに、自分のみの感覚で生きましょうということです。このことで本当の自分の気持ち、意見が見えてくると説いています。

6.ダラナ

そしてダラナとは集中です。自分の意識を一点に留め、それでいて広い世界にも集中しましょうということです。

何となくポーズをしたり、呼吸をしたり、何となく生きるのではなく、自分の行動に集中力をもちましょうと説いています。

7.ディヤナ

ディヤナとは瞑想です。これまでの段階を踏んで、自分自身への集中が強くなり、その結果瞑想が出来ると言っています。心が整い、クリアになっている状態です。

8.サマディ

そして最終段階のサマディは三昧、悟りと言われます。要は悟りの境地です。スピリチュアルな表現になりますが、本来の自分と一体化できる、神様とつながると説いています。

私たちがここまで到達するのは、至極遠い道のりで、なかなか到達できるものではありませんがヨガにゴールがあるとしたら、きっとサマディこそがゴールなのではないでしょうか。

ヨガの哲学は意外にも身近なこと

ヨガは古代インドにおいて、哲学ともいえる宗教的な考え方から始まりました。

紀元前まで遡るほどの哲学なのに、暴力をふるっちゃダメですよ、献身的な心を持ちましょうなど、現代の私達にとっても身近な教えが沢山詰まっています。

ヨガは知れば知るほど奥深く、さらにさらに追及したくなるものですね。

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