ヨガのマントラは意味不明?何のために唱えるの?

ヨガ

ヨガの本にはサンスクリットで書かれたマントラをよく見かけます。またヨガのスタジオなどへ行くと、レッスンの前や後にサンスクリットの言葉を音に合わせて唱えます。正直、意味不明の言葉に感じますが、マントラとは一体何のために唱えるのでしょう。

マントラとヤントラ

ヤントラは視覚

マントラを説明する前に、ヤントラというものも見ていきましょう。実はこのヤントラ、1度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。厳密にいうと違うのですが、よくチベットのお坊さんがかいている「マンダラ」とヤントラにはっきりとした区別はなく、同じように使用されます。

これらは宇宙や神仏を図に表しているものです。現在ではアートとして評価されていますが、元々は精神的な世界観を表現しているものです。

マントラは聴覚

そして「マントラ」はこの宇宙や神仏を音で表したものです。実はこのマントラは「タントラ哲学(宇宙の原理を体感しようとする)」に基づくものです。

少々ややこしくなってきましたが、人が「宇宙と触れ合う場所」に到達する1つの手段がマントラの音というわけです。

「宇宙と触れ合う場所」というのも、なかなか抽象的で、色々な解釈ができそうですが、現代の私達の感覚では、悟りの境地に達する場所と言えるかもしれません。

マントラの起源

マントラはサンスクリット語で読み上げられ、素人の私達には何を言っているのかよくわかりません。日本語訳をよんでも、その意味が漠然と把握できる程度です。

そもそもこのマントラの起源はどこにあるのでしょうか。歴史を手繰り寄せながら少しずつ、マントラの世界観を感じてみましょう。

古文献「リグヴェーダ」の中に存在してた

マントラの起源は、紀元前1200」年の有名なヒンドゥー教の聖典「リグ・ヴェーダ」の中にあります。

バラモンの祭儀用の呪文として、太陽神や水神、火神などの自然の神様への感謝の言葉がつづられています。この言葉こそマントラと呼ばれる聖なる言葉です。

マントラはなぜヨガのクラスで唱えるの?

もともとは神様をたたえるこのマントラというものですが、なぜ現代のヨガクラスでマントラを唱えるのでしょう。フィットネス関係のヨガクラスでは、宗教色が強いという理由でNGとなっている場合もあります。

しかし、実際にヨガクラスで唱えられているマントラには、あまり宗教的な意味合いはないようです。どのような目的があるのかいくつか見ていきましょう。

調和する

マントラは聖なる音だと表現しましたが、クラスの中で皆がマントラを唱えると、個々の声が響きあい不思議な旋律を生み出します。初めは自分の声しか聞こえませんが、皆の声がまとまってくると、全ての音が響きあうのを感じます。

1人の声だけでは音の振動や響きを感じることはなかなか出来ませんが、皆で合わせることで音が反響しあい不思議と調和していきます。

クラスの空気が変わるのです、お互いに一体感、安心感、信頼感を感じることが出来、温かい気持ちでヨガを行うことが出来るでしょう。

落ち着きを与える

私たちは生きているというだけで色々なストレスにさらされています。ヨガスタジオにいくまでも人とぶつかりそうになったり、電車が混んでいたりと心が平らな人はなかなか存在しません。

静かな音の響きであるマントラは、そんなざわついた心を落ち着かせてくれるでしょう。心の作用を言葉に表現するのは難しいですが、例えば「SHANTIシャンティ(平和)」という言葉をマントラの旋律で唱えると不思議と心が落ち着いてくるものです。

浄化する

スピリチュアルな感じになりますが、マントラは心と体の波を調整すると言われています。ヨガで表現するなら、チャクラというエネルギーを浄化をしてくれるというわけです。

マントラを唱えることで、意識が集中し余分な考え、余分なストレスが消え空っぽになってきます。浄化されるとは、そういった不必要なものが自分の中から消えるという事ではないでしょうか。

マントラの音の響き

オーム「OM」という聖なる音

ヨガを実践している人は、この「オーム」というマントラを何度か口にしたことがあるのではないでしょうか。オームは宇宙の始まりの音だと言われています。

マントラには太陽、火、水などとそれぞれの神様をたたえるものが多いですが、この「オーム」という音にはそういった意味合いはありません。

ただ存在する「音の響き」なのです。聖なる音とも呼ばれています。深く考えるよりも実際に音にして、その響きを感じるべきかもしれません。

ガヤトリーマントラ

「ガヤトリーマントラ」はもっとも有名で、強いマントラです。太陽神をたたえるマントラなのですが、日に3回唱えると、1日の罪がすべて消されると言い伝えられています。

音を感じることが最たる目的ですが、マントラとはどのような内容なのか、例としてこの有名なガヤトリーマントラの内容を紹介します。日本語訳は一般的なものです。

OM BHUR BHUVA SVAHA オームブール ブヴァ スワハ
TAT SAVITUR VARENYAM タットゥ サヴィトゥー ヴァレーニャム
BHARGO DEVASYA DHEEMAHI バルゴー デーヴァッシャ ディーマヒ
DHIYO YUNAH PRACHODAYAT ディヨー ヨーナム プラチョーダヤートゥ

オーム光は天と地と大気に満てり
光より栄光、光輝、恩寵流れいづ
光である内在の英知を
神よわれらに目覚めさせたまえ

マントラは音の響きを楽しもう

マントラを深く知りたいと感じた人は、タントラ哲学を学んでみるのもいいでしょう。ヨガのクラスでマントラを唱えたときは、難しく意味を考えるのではなく、ただその音の響きや調和されていく旋律を感じてみましょう。ヨガは考えるものであり、感じるものなのです。

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